君という海に溺れる




嫌だと涙を流す少女に顔を歪めるその人。

瞳には寂しさが揺らめいて。


けれどその人は彼女の笑った顔が好きだった。


嘘偽りなく大好きだと言ってくれた笑顔が好きだった。


だからその人は言う。




「必ず迎えに行くよ」




だから笑って。



約束の指切りの後、少女は笑顔を置いて歩き出す。


空には綺麗な虹が架かっていた。




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