君という海に溺れる
それでも自らの世界に閉じ籠り続けることは許されなくて。
どんなに嫌だと思っても、許されないことをするには今以上の勇気がいるから。
そんなことをする勇気など持ち合わせていない弱虫な私は、怠い体と拒否する頭を無理矢理動かすのだ。
泣くことは出来ない。
ただ、深く息を吐くだけ。
それが私の毎日の日課。
重い体を引きずってリビングに向かえば、当たり前のよう母と妹の姿がそこにあった。
何の不思議もない光景。
数十年見てきた変わることのない光景。
その光景に自然と眉間に力が入ってしまう自分が情けない。
これが当たり前の世界だというのに。
これが私の生きている世界だというのに。
違和感を感じ始めたのはいつだったろう。
気付けばその光景が私に無言の圧力をかけているように見えた。