天使の涙

その後、他愛もない会話を、淡々と交わしていた。

あの先生はどうとか、あそこのグラタンは美味しいとか...。

そんな会話が出来る、この関係が一番良いのかもしれない。

こうして別れようとしていた。

でも、動けなかった。

『柊斗...?』

「...」

『大丈夫?』

「...」

柊斗に抱きしめられていたから。

『柊斗...!』

「っ、悪い...」

柊斗の胸を押し返すと、ゆっくり離れた。

それが少し寂しいと思う私は、いけないのかな...?

何てね。

『柊斗、大丈夫?』

「あぁ」


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