溺れる唇

隣の芳賀くんにバレないように、そっと
笠井さんの様子を窺う。

斜め向かいの笠井さんは、さっきと同じ、
玩具を見つけた子供のような表情で
芳賀くんを見ていた。

「いえ、これは別に文句では・・・」
「だよな~。文句なんて、さわやか
好青年の東吾くんが言うはずないよな?
俺のオゴリだし(笑)」

芳賀くんは何か言いかけて、面白がって
いるような笠井さんの顔を見ると、
少し赤くなって俯いてしまった。

取り分けた海鮮粥をレンゲで掬う、
拗ねた横顔。

「あ、うまい」
「だろー?」

得意気に言う笠井さん。



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