幸せ家族計画


 お湯が沸くまでの数分間。
キッチンから、不安げな様子の綾乃ちゃんを覗き見しつつ、考える。


何故突然来たんだろう。
しかも一人で。

達雄は英治くんと飲んでるはずなんでしょ?
……って事はケンカでもしたって事?


それにしても。

その相談に私のところになんか来るかしら。

契約恋愛だったとはいえ、私と達雄は肉体関係まであった間柄で。
綾乃ちゃんにとって私は、嫉妬の対象だったはずだ。


「綾乃ちゃん、コーヒーでいい?」

「え? あ、すいません。コーヒーはダメです!!」

「え?」


ダメですって。
そんな身も蓋もない。

私の表情に気付いたのか、彼女は慌てて両手を振った。


「ああ、ごめんなさい。そう言う意味じゃなくって。なんか、カフェインの入ってないものがいいんです」

「カフェイン……」


頬を赤らめる彼女の顔を凝視する。

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