幸せ家族計画


「どうして? 達雄が喜ばないとでも?」


彼女は小さく首を振る。


「喜んでくれるとは思うんです。彼は子供が好きだろうし。実際私の事もよく面倒みてくれたから、子育てにも慣れてると思います」

「じゃあどうして?」

「それは……」


膝上で組み合わされた彼女の指先が、落ち着かなさげに動く。
口を開いては閉じ、3度目ぐらいにようやく声が一緒に出てきた。


「私、もう子供の母親としてしか見てもらえないのかなって思って」


消え入りそうな小さな声が続く。


「職場の先輩とかに、色々お話聞いたりしたんです。

そうしたら、母親になったら自分も子供中心になるし、旦那もそうだとか。
妊娠中に浮気された事があるとか、何だか不安になる話ばかりで。

そんなことないよって言ってくれる人ももちろん居るんですけど。
皆、私が今まで彼にとって『妹』だったって事は知らないから」

「そうね」

「それを知ってる人に相談したくて。こんな相談するほど親しくは無いって分かってるんですけど……」

「それで、私?」

「すいません。驚いたでしょう」

「まあね。でも光栄だわ」


言ってから、どっかで聞いたセリフだなと気付く。

嫌だわ。
英治くんの口癖がうつっちゃってる。


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