幸せ家族計画
「でも期待しないでね。
私ももう34歳だし。
そんな簡単には妊娠しないと思うから」
「別に無理に欲しい訳じゃないよ」
「でも」
「こうしているのも楽しいしね」
首筋にキスをすると、お湯がピチャリと跳ねる。
「俺さぁ」
「なあに?」
「一人で居た時、決して不幸な訳じゃなかった。
でも今の方が楽しいな。
サユがいて、紗彩がいて。
前より笑ってる自分がいる。
こうなると、昔の自分にはもう戻れない。
もう一人増えたらきっともっと楽しいだろうとは思う。
でも、失うのは嫌だな。
だから、もし妊娠が無理でも、気にすんなよ?
紗彩が元気で居てくれればいいから」
「うん。……分かってる」
彼女は前を向いたまま、ポツリと言う。
それが少し寂しそうな声音で、何だか心配になった。
そのうちに鼻をすする音がしてきた。