幸せ家族計画

わたしは、ずっと考えていたことを、一生懸命話した。

話ながら訳が分からなくなっちゃって、
同じことを何度も言ったりもしたけど。

お父さんはその間、怒った顔も悲しい顔も嬉しい顔もしないで、
「うん、うん」って頷いててくれた。

ママやおばあちゃんだと、話してる途中に悲しそうな顔になったり、怒った顔になったりするから、そっちに気をとられちゃって何を話せばいいか分からなくなるけど。

お父さんはずっと同じ真剣な顔のままだったから、
いつの間にか、わたしは自分の考えを伝えることだけに集中できた。


途中でママがやってきて、驚いた顔をした時も。

お父さんは「ちょっと任せて」って言って、ママを部屋にいれなかった。


心の中で考えていたことを全部吐きだし終えて。

何だか力が抜けたみたいに、スーッと軽くなっていた。


「大体分かった」


お父さんは一度にこっと笑う。

怒ってないんだってそう思えて、すごく嬉しくなった。


「じゃあ今度は、俺の気持ちをサユに言うから。
サユも最後まで聞いてくれるか?」

「うん」


お父さんの目をまっすぐ見よう。
大事なことを聞き逃したらダメだ。

だって。

お父さんもそうやってわたしの話聞いてくれた。

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