幸せ家族計画
「世の中の大抵の人は、多分サトルくんみたいに思うんだと思う。
俺も最初は悩んだよ?
サユが、俺の事をパパだと認めてくれるかとか。
紗彩に、優さんの事を忘れさせるにはどうしたらいいのか、とか」
「……」
「でもそんな悩みを取り払ってくれたのはサユだった」
「わたし?」
「そう。昔、水族館で『パパもおじちゃんがすきになるよ』って、言ってくれたの覚えてる?」
「覚えてる。パパに見せたくて」
わたしはその頃、海で死んだパパはきっと水のあるところにいるんだって思ってて。
その場所は、わたしが一番好きな水族館のイルカプールだろうって思ってた。
だからお父さんをパパに見せに行った。
わたしの気持ちわかってくれて。
ずっと想像だけだったパパのあったかさを、本物にしてくれたお父さん。
パパにも、好きになって欲しかったから。
「あの時。
サユと紗彩から、優さんを奪う事は出来ないんだって思った。
だけど、そこに俺も入ってもいいんだなとも思った。
サユが、ちゃんと紹介してくれたからね。
サユが居なかったら、きっとそうは思えなかったと思う。
もしかしたら結婚もしてないかもしれない」