幸せ家族計画
ゆっくりと彼女の前髪をかき上げる。
熱を持っているように額が温かい。
「英治……くん?」
「サユが不安になっても、大丈夫。俺が支えるから」
「え?」
「だから紗彩は今、自分と赤ん坊の事だけ考えろ。
辛い事は辛いって言って大丈夫だ。俺がいる。俺が、受け止めるから」
「……」
紗彩の瞳に、涙が盛り上がってくる。
途端に顔がくしゃりと歪んだ。
「もっと俺を頼ってくれ」
そう言って手を握ると、紗彩の瞳からこぼれた滴は、頬を伝って枕元に落ちた。
「……っ、い、痛い」
「うん」
「痛いよ、英治くん」
「うん。わかった。大丈夫。もう少しだから頑張れ」
「怖いよ。英治くん。ちゃんと生まれてくれるかなぁ」
「大丈夫。頑張れ、紗彩」
俺と紗彩の会話を聞いて、やはり不安になった様子のサユが、俺の背中にひっついてくる。
「ママ、大丈夫?」
「ママは大丈夫。母親はすごいんだぜ。だからサユは、ママを信じて応援しような」
「うん。ママ、頑張って」
「紗優。……ありがと」
涙が止まらなくなった紗彩の目元を拭いてやる。
弱音を口にしているはずなのに、目つきは前よりしっかりしてきた気がする。
握り締めた掌が、愛おしい。
もっともっと、紗彩の傍にいたい。
痛みも分け合えればいいのに。