幸せ家族計画



 一ヶ月と少し前。

平日の、太陽が一番高く上がる頃、達雄と二人きりで結婚式を挙げた。

達雄の体裁を考えて、結婚の事はあまり表沙汰にはしたくなかった。

それまでの私たちの間には色々な葛藤があり、やっとのことで乗り越え、実現した事ではあったけれど。
義理の妹と結婚したなんて事実は、やはり彼の為にはならないと思ったからだ。

だから、新婚旅行なんて全く期待していなかったのだけど、
彼はその週末、一泊の予定で温泉旅行に連れて行ってくれた。



 眼前に広がる深みのある碧い海。
私の気分はすごくリラックスしていた。


「きれーい」

「いいだろ? 会社の同僚に聞いたんだ」


達雄がそう言って、荷物を畳敷きのスペースに置く。

部屋はとても豪華で、驚いた。

入ってすぐにツインのベッド、奥に畳敷きのくつろげるスペース。

隣には一面の窓に面した内風呂もあって、景色が一望できる。


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