幸せ家族計画


「ささやかだけど、新婚旅行な」


そう言って、彼は笑う。

私はバルコニーにでて、顎のあたりまで伸びた髪を存分に風に遊ばせた。


「綾乃」


達雄がやってきて、私を包みこむ。


「なあに?」

「風寒くないか?」

「気持ちいいよ。お兄ちゃん、よくこんなに素敵な旅館予約出来たね」

「ああ、一月に新婚旅行に行った奴に教えてもらって、実は綾乃と暮らし始めた頃にはもう予約してたんだ」


だとしたら一ヶ月以上前からだろうか。

そういえばこの日に用事があるから休みをとれって言われたのもそのくらいだった気がする。
そんなに前から計画してくれてたのかと思うと、嬉しい。

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