幸せ家族計画
顔を見ることもできなくて、彼に背中を向ける。
怒っているかもしれない。
折角の新婚旅行なのに、こんな小さな事で腹を立てている新妻なんて最悪だもん。
彼の手が、私の肩に乗った瞬間、緊張が走る。
怒られる……?
けれど、今までを思い返してみても、
彼が私を、ただ感情任せに怒った事なんかない。
いつも黙って、寂しそうに私を見つめるだけだ。
「……お兄ちゃん」
寂しそうな瞳を見るのが嫌で、振り向かずに呼ぶ。
口をついて出てしまった呼び名が『お兄ちゃん』の方で、それがまた心の距離を広げてしまった。
彼の手は、ためらいがちに私の体を引き寄せる。
背中から抱きしめられたけど、拘束する力はそれほど強くもない。
彼は迷っているのかも知れない。