魔天戦史
「………青龍殿…なぜみすみす逃がしたのです。二人でかかれば、負けることは有り得ないのに……」
「……それで、勇翔を犠牲にランダを打ち取って、何の意味がある……」
「…………」
「ここで戦えば、勇翔に負担がかかるのは間違い無い。普段の勇翔ならいざ知らず、今の勇翔に聖霊三体分の霊力の衝突を受け止めるだけの力は無い……我々は、契約主の身を常に案じなければならない……それを忘れるな」
「……軽率だった…」
「いや…仕方ないだろう。お前は忠義に篤いが、それがお前の危うさでもある……」
「青龍殿……」
「だが、それに勇翔も助けられているはずだ。あまり、気に病むな」
「……ありがとう…青龍殿……」
「あぁ……我々も休もう」
「えぇ……」
二人は互いにそう言葉を交わして姿を消した。
「……え…観光、ですか…?」
「あぁ……その案内を君に頼みたいんだが………」
翌日目を覚ました勇翔は、公王から日本の観光案内を頼まれていた。
「でも、何で僕に……」
「元帥達には頼めないし、あまり知人もいないものでね……できれば、君の案内で誰かと接点を持ちたいというのもあるんだが……どうかな?」
「……って、言われましても………」
「勿論君の体調を優先してくれて構わないよ。途中で倒れられても困るしね」
「………それじゃあ、良いですけど……」
「おぉ、引き受けてくれるのかい。ありがとう、勇翔君」
「いえ…じゃあ、準備しますから、少しお待ちを……」
公王は医務室の外で勇翔を待って、勇翔の支度が終わるのを待って、アルバーヌも一緒に日本に飛び立った。