【完】俺だけを愛して溺れろ。



『ううん。この後、予定が入ってるからさ……』



「そっか、」



切なさを含んだ声で呟く蒼空。



『(もう限界だ)』



このただならぬ異様な空気に、今にも押し潰されそうで……。



上手く呼吸も出来ない。



苦しさのあまり、胸がはち切れてしまう前に。



『……迷惑じゃなかった』



「え……?」



『あの雨の日、話しかけてくれてありがとう』



あたしはゆるく目を細めて、口元に弧を描く。


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