【完】俺だけを愛して溺れろ。



“この当たり前を失われることが怖くて、怖くて”



“本当の気持ちを吐き出さずに、出会った当初のあたしのまま蒼空と接した”



徐々にぼやける視界。



あたしは冷え切った手で目頭を押さえる。



“けど、どっちにしろ、今まで築き上げた関係が一瞬にして崩れたね?”



喉の奥が熱くなる。



“あたし、蒼空の手料理が好きで”



“蒼空と軽口を言い合うことも好きだった”



“素直な女じゃなくて、ごめん”



“最後だけ素直になったあたしを許して下さい”


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