【完】俺だけを愛して溺れろ。
あたしは適当に返事をし、冷水を喉に流し込む。
そして、軽い気持ちで言ったあたしに、洸太はにっこり微笑んだ。
「凜って、好きな人いる?」
『げほっ!』
そんな質問がくるとは思いもしなかったので、むせて咳き込んでしまった。
予想外すぎて、言葉が浮かばない。
――“好きな人”
もう、吹っ切れたと思ったのに。
それなのに、今、不意に浮かんだのは……。
あたしはそっと視線を落とし、静かに息を吐き出す。