一緒に暮らそう
「ほな。愛のこもったお菓子、遠慮なくいただきますわ」
 中山さんはまんじゅうを口に運ぶ。
「餅のようであって餅とはちょっと違う食感。何とも言えまへんなあ」
「美味しいですか」
「うまい」

「なんだかんだ言うても愛されてるやんか」
「ええ。不安と安心の間を行ったり来たりして揺れ動いてますけどね。今回のことで針が『安心側』に動きました」
「揺れ動くってあんた、取りこし苦労なんちゃう? 女の子はしょむないこと気にするし。僕からしたら、そんなにごちゃごちゃ言うのもノロケみたいなもんやな」
「外野に色々言われると不安になっちゃうんですよね」
「外野?」
「ええ。この前ね。幼なじみに久しぶりに会ったんですよ。彼女、こっちの方に久しぶりに遊びにきたんです」
 そう言って紗恵は芹菜と会った時に言われたことを話した。
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