一緒に暮らそう
 人の気配がまばらになってきた地点で、二人は川の岸辺に腰を下ろした。夜風が冷たい季節だ。夏場と違ってそんなに長居できる場所ではない。
 暗がりの中で、対岸にそよぐ柳のシルエットが見える。

「今日は色々案内してくれてありがとう。京都は初めてだから楽しかった」
 紗恵がお礼を言う。
「喜んでもらえて良かったよ。一度、君をこの町へ連れてきたかったんだ」
「そう」
「いつか俺の生まれた町にも連れていくよ」
「千葉へ?」
「そうだよ。君が東京にいた頃、行ったことはなかった?」
「専門学校の友達皆でディズニーランドに行ったことならあるわ」
「ああ、あそこね。俺も子どもの頃に何回か行ったことがあるよ。俺が育った船橋はディズニーランドがある舞浜からそんなに遠くないよ。近い内に君を連れていこうと思う。実家にも」
「そう。それは楽しみだわ」
 紗恵は新多が自分との絆を強いものと考えていることをうれしく感じた。
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