一緒に暮らそう
「ははは。気が早いよ。まだ、斉藤さんの海外赴任の辞令が正式に出たわけじゃないんだからさ」
「でも、彼が選ばれる可能性は高いんでしょ」
「まあ、そう思うけど」
「じゃあ、ほぼ決まりじゃん。海外暮らしだなんてうらやましいなぁ。西海岸でしょ? あんたんとこに遊びに行きたいけど、あたしんちじゃ無理だなぁ。ねえ、なんか向こうの美味しい食べ物でも送ってよ。どっか遊びにいったら写メも見せてね」
「いいよ」
 芹菜のあっけらかんとしたおしゃべりを聞いていると、いつも元気になる。あれほど不幸な生い立ちがありながら、こんなにも明るい性格でいることに感心する。

「結婚式はいつにするの?」
 芹菜がたずねる。
「斉藤さんとは今度の2月に千葉の式場で挙げようかなって言ってる。もし来年の4月に赴任となれば、3月には引っ越さないといけないし。その時期だと結婚式場の料金も安いし」
「うわぁ、結構急な話だね。式には絶対行くから、招待状送ってよね」
「もちろん。芹菜には絶対来てほしい」


 そんなこんなで新多と紗恵の結婚話はトントン拍子で進んでいた。
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