一緒に暮らそう
ええ話
 山の町に霜が降りる頃、紗恵はいつものように食堂の後片付けをしていた。
最近、この寒さのせいで調子を悪くする入居者が増えている。病院に入院する者も出るし、介護士たちもいつも以上に気が張っている。

 割烹着姿の紗恵が配膳台を拭いていると、いつものようにあの男性がやってきた。入居者の中山さんである。彼はいつもの笑顔を浮かべながら彼女の方に近づいてくる。今日の彼は白っぽいアランニットのセーターを着ている。
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