一緒に暮らそう
 新多はさっさと朝食を済ませると出勤していった。

 神戸の研究所には田舎の研究所から引き抜かれての転勤で、そこでもある研究開発部門の主任者を務めるらしい。
 彼は順調に出世しているのだろう。

 2LDKの部屋に住んでいるけど、きっと同居人のことは内緒にしているのだろう。幸い、このマンションに同じ会社の人は暮らしていないから、近隣の人に紗恵の存在を怪しまれることはない。でも、いつまでもここに居候するわけにはいかないだろう。

 午前9時30分。
 朝食の後片付けと水回りの掃除を終えた。ダイニングに掃除機もかけた。新多から家にある家電は何でも使っていいと言われているので、お言葉に甘えてそうさせてもらっている。

 紗恵はソファーに腰を下ろして一息ついた。
 彼女は紅茶を淹れた。
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