一緒に暮らそう
「ああ、腹がペコペコだ」
 新多は手を合わせてから食事を始める。
 紗恵もご飯に箸をつけた。引越しの時に田舎から持ってきた、県産のコシヒカリだ。

「うまい。このスープ、わずかにショウガの風味が利いてるんだな」
「はい。まだ寒いですから、体が温まる方がいいと思って」
「へえ」
「揚げたレンコンの歯ごたえもいいね」
「ありがとうございます。スープの具に揚げ物が入っているから、副菜はなますにしたんです」
「これもさっぱりしててうまいよ」
 新多にほめられて、紗恵は照れ笑いを浮かべる。

 紗恵は改めて目の前にいるワイシャツ姿の男性を観察した。
 理知的で端正な顔をしている。
 目元に渋みが現れ始めている。
 同じ長身で二枚目系の男なのに、昔付き合っていた男とは品が違う。雲と泥ほどの違いがある。

 一緒に暮らし始めて感じたのは、食べ方がとてもきれいだということだ。もちろん、紗恵のそれよりもきれいだ。
 そこらへんに彼の育ちの良さが表れている。
 食べ方一つで彼の在り様がわかる。
 その所作に彼女は思わず見とれた。
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