一緒に暮らそう
「きれいになったな、肌」
 紗恵のはだけた胸が、サイドランプの光に照らされている。
彼女の元々白い肌は、以前よりもなお一層きめ細かく滑らかになっている。その美しさに、新多は目を見張った。

「毎晩、温泉に入っているのよ。だからだわ」
「そう言ってたよな。うらやましい環境だ」
「それだけが唯一の楽しみよ。仕事はメチャ大変なんだから」

「どんなお湯かい?」
 新多が優しい声でたずねる。
「えーっと。あんまり色は付いてないかな。硫黄臭とかはしないけど、どういう成分なんだろう? 詳しい泉質のことはよくわからないわ。お湯の感じがまろやかで、浸かっているとものすごく温まるのよ。斉藤さんも一度、あっ……」
 紗恵が言葉を言い終わらないうちに、新多が彼女の胸に唇を当てた。彼はその大きな手で彼女の胸を愛撫しながら、全体に口づけをし始めた。

「そうだな。一回、行ってみたいな」
 彼が返答しても、紗恵はそれ以上言葉を継ぐことはできなかった。

 そうして彼女は、悦びの大きな渦の中へ吸い込まれていった。

< 82 / 203 >

この作品をシェア

pagetop