一緒に暮らそう
 ベランダから降り注ぐ朝日を浴びて目が覚めた。

 紗恵は傍らで眠る恋人の横顔を眺める。高い鼻梁が理知的だと思った。寝顔を見ていると愛おしさがこみ上げてくる。
 一週間のうちで、これが一番幸せな瞬間だ。

 そっと頬に口づけをすると、彼は少しだけ声をもらし、ほほ笑んだ。
 きっと彼はまどろんでいるのだろう。

 昨日、カフェでランチを取ろうとしていたら、いきなり新多の同僚と名乗る女がやってきて、紗恵に言いたい放題言ってきた。

 そんな嫌なことがあっても、こうやって彼と一緒にいると不安なことなんか吹き飛んでしまう。
 誰かが自分たちの間に割り込んできて、この関係を壊してしまうなんて考えられない。

 新多が目を覚ました。
 彼は柔らかな笑みを浮かべて紗恵を抱き寄せ、しばらく抱き合って眠る。

 今日、紗恵は午前中に時間休を取ってきたので、早朝に急いで戻る必要はない。
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