一緒に暮らそう
 通されたのはリフォームされた新しい部屋だった。

 障子戸の上には欄間がはめ込まれ、床の間には水墨画が掛けられている。
 籐椅子が置かれた縁側の向こうには、鮮やかな緑の日本庭園がのぞいている。
 部屋の隅には行燈が置かれている。

 紗恵はくるくる回りながら部屋中を見渡す。
「うわー、すてきな部屋。いかにも老舗旅館って感じ!」

「気に入ってくれた?」
 新多がたずねる。
「ええ。とっても! お風呂とお食事も楽しみだわ」
 紗恵が笑顔で返す。
「それは良かった」
 

 さっそく二人は貸切露天風呂に入ることにした。
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