【完】君と流れ星を。

「呼び出しておいて遅刻かよ」


店の奥から聞こえたのは澤田くんの声だった。


「紗奈とデートしてたんだから仕方ないだろ」


そう言って先生は私の肩を抱いた。


「ちょっと!せんせっ」


大きな声を出したつもりだったけど、外を通る車の音にかき消されるような声しか出せなかった。


「そういうのをセクハラっていうんだ」


澤田くんの声とため息が聞こえる。

声が聞こえた方に目を向けると、奥のテーブルには伊集院先輩も大島先輩もいるみたい。


先生は私の肩を抱いたまま、奥まで歩いてからやっと解放してくれた。


……先生が触れていた場所に心臓があるみたい。

熱くて、くすぐったくて、不思議と心地良い。
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