あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「園崎は金持ってんだろ?」

「うん、まあ…」

大金ではないけどね

「なら、近くの駅から電車に乗って帰れって。もうすぐで外が暗くなるんだし、駅までなら俺も送って行くから」

そんなこと言わないで

せっかく霧島君と一緒にいられるかもしれない時間だから…一緒に居たいって思っちゃいけないのかな?

「霧島君が心配だから…」

「それよりも…俺は園崎のほうが気になるんだけど」

「へ?」

私は霧島君の言葉にドキッと胸が高鳴った

気になるって? なに?

「園崎って具合悪いんじゃないの? 俺より前に保健室にいたじゃん。流れに流れて俺の病院まで付いてきちゃったけど、ダリぃんじゃねえの?」

「あ…ああ」

曖昧な返事をしながら、私は保健室にいたことを思い出す

生理中で、お腹の痛みが治まるまでベッドで横になってた…とは、男の霧島君に言えないし

今はもう薬も効いてて、痛くないし…

もっと霧島君と一緒に居たいよ

せっかくのチャンスなんだよ?

ずっとずっと遠くからしか眺められなかった霧島君が目の前にいて…もう少し一緒に時間を共有できるかもしれないのに

私だけ電車で帰るなんて、勿体なくて出来ないよ
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