あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「一緒に帰る」

「だぁ…から、具合が悪いんだろ?」

「悪くない」

「保健室にいたじゃん」

「いた。けどもう平気だし」

「あんま顔色、良くねんだよ」

「貧血気味なだけだから!」

「ひ……!? そりゃ、タクシーで帰れよ。それこそ金持ってんだから、車で帰れっつうの。歩いてる場合じゃねえだろ」

「帰るったら、帰る。霧島君と帰るの」

霧島君が、「ああ、もう」と言いながら、襟足をガシガシと掻き毟る

「私、歩けるよ?」

「……タクシーで帰る。金、持ってねえから、園崎が払えよ」

「あ、うん」と私が頷くと、霧島君がスタスタとまた歩き出した

霧島君と、途中まで一緒に帰れる

そう思うとすごく嬉しかった

霧島君と同じ空間に、もう少しだけいられる










家に帰って、冷静になって…気がついた

もしかして私、霧島君に悪いことをしてしまったんじゃないかって…

霧島君はお金をかけずに家に帰ろうとしていたのに、私が一緒に居たいと言う我儘で…タクシーに乗ってきてしまった

私、嫌われちゃったかな?

面倒くさい女って思われちゃったかな?

お金は私が払ったし、霧島君には負担をかけないようにしたし…

でも融通のきかない女て思われたかもしれない
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