あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「会えないのはさびしいね」と優衣ちゃんが、私の手を握りしめた。

 私はコクンと頷いてから、ジンジャエールをズズッと啜った。

 寂しいけれど、今は霧島君にとって大事な時期だから。我慢しなくちゃ。

 霧島君は、バスケに私は関係ないって言いきっているけれど。そうじゃない部分もあると思うし。

 先輩に良いイメージが抱いてもらえないと、いくらバスケが上手で戦力になれてもメンバーには入れてもらえないと思う。

 実力だけじゃ、ダメだっていう時もあるから。

 優衣ちゃんの言う……旅行に行ったり、一緒に過ごすことが愛情のバロメーターかもしれない。

 でも、相手を想い、会わないという選択をするのも、きっと"好き"という表現の一つに入ってると思うの。

 それを私は選ぶよ。

 霧島君のために、今は会わない。

 霧島君の良い報告を聞いたら、私は霧島君に会いに行く。

 絶対に、霧島君なら選抜メンバーに選ばれると思うから。

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