あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
T大に合格したら……告白をしよう、霧島君に

呪文のように何度も言い聞かせて、私は受験に挑んだ

大学は無事に合格

両親も、学校の先生たちも、予備校の先生たちも凄くすごく喜んでくれた

「よくやった」と誰もが肩を叩いて、笑顔を見せてくれた

まわりの大人たちに期待されることが、辛くてストレスから胃痛と悩む時期もあったけど

なんとか乗り切れた自分が今いることに、少し信じられない

合格したら…告白

いざ、告白しようと思うと、心が折れそうになる

やっぱり辞めようかな?なんて思ってしまう自分がいたり

だから手紙を書いたの

学校で、霧島君を呼びとめて告白

そんなドラマみたいなワンシーンを私ができるはずないのはわかってる

次に会うのは卒業式

人気者の霧島君のことだから、きっと友人たちに引っ張りだこになっているはずだから

私が呼びとめられるはずもない

無理、絶対にできない

ただ大勢の人たちに飲み込まれて、遠くから霧島君を見ているしかできないのはわかってるから
< 42 / 114 >

この作品をシェア

pagetop