あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
『せっかくの合コンなのに。そんな格好って有り得ない!!』と美雪ちゃんに活を入れられて、私は急きょ、ワンピースとレースのキャミとヒールのあるサンダルを買った。

 美雪ちゃんに『合格』をもらったヒラヒラワンピースを着て、私は合コンに参加する。

 慣れないヒールのあるサンダルを履いた私の足は、すでに悲鳴をあげていた。

 小指と足の裏が痛い。きっとマメやら、靴ずれが出来ているに違いない。

「桜ちゃんは、彼氏いんのー?」というやたらに軽い質問が飛び交う。

 初対面の男性に、いきなり「桜ちゃん」と呼ばれるのには抵抗がある。

 いくら酒の席で、すでに場は和んでいても、やっぱり抵抗がある。

 それは私がお固い人間だから……なのかもしれないけれど。やっぱり「桜ちゃん」なんて異性に呼ばれた経験のない私にとったら、違和感がある。

「桜ちゃん、彼氏は?」

「はい?」

 もうかれこれ何度目になるであろう質問を、間近で問われて私はサワーを持ったまま、固まった。

「答えてないでしょ? さっきから何度も他にヤツらに質問されても」

「ああ……そうでしたっけ?」

 あはは、と私は乾いた笑いを立てながら、ぐいっとグラスを開けた。
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