クズレタ果実【完】
ポストに鍵を落として、微妙な重さの鞄を抱えながら、タクシーが捕まえられる大通りまでを歩いた。



「すみません。ここって、わかりますか?」



「うーん、そうだね…。だいたいなら、わかるかな」



老眼鏡を掛けて、差し出した携帯画面の地図を見た、タクシーの運転手さん。

近くまで行ってくれたら十分。

私は乗せて貰う事にして、荷物と共に乗り込んだ。
< 135 / 320 >

この作品をシェア

pagetop