クズレタ果実【完】
私が頷くと、私と冴嶌から目を背け、考え込むような顔。



「…あの、何か…」



「いや。君、“苺”なんだね。
僕たち兄弟は、“桃”なんだよ」



「……;;」



だから、何だと言うのか。

返す言葉に困り、アイコンタクトで冴嶌に助けを求めると、「敬語キモい」と呟いた。



「仕方ない。家族以外には敬語というモットーがあるんだ」



それはどんなモットーなのか。

顔も似てなければ、性格も似てない。
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