愛するということ
去年の県展で、始めて入賞することができて、自分以上に喜んでくれていいた先生の期待に添えないくて申し訳ない気持ちと、解決の糸口さえ見えない状況に、ただ謝るしかなかった。



「何か、悩みでもあるのか。それとも、スランプか。」

「・・・」



自分でも、分からない自分の気持ちを、先生に説明することなんて、できない。


いっそ、心の中を全部ひっくり返して先生の目の前に出すことができたら、案外サクッと解決するのかもしれない。




でも、そんなこと不可能なわけで、日々大きくなる不安と、焦りに消耗していくだけ。


「まぁ、無理して描いても、苦しいだけだろから、そんな時は、ひたすら絵から遠ざかるか、片っぱしから眼に映るものを描いてみるかどっちかにしてみろ」


一向に進展しない、私との会話に先生は、その言葉を残して去って行った。




呆れられたのだろうか・・・




描けない焦りと、正体のわからない心のモヤモヤに新たに加わった、先生に見放されたんじゃないかという悲観的な感情でグチャグチャだ


ノロノロと、重たい自分の体を引きずるようにして部屋を出た。

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