愛するということ

「いらっしゃいませ」


さっきの店員さんのやさしい声が、響いた。

思わず顔をあげて入ってきた人を見ると。



「あっ。瞬」


気まずそうな顔をした隼人だった。



隼人の隣には、確か生徒会役員の女の子が並んで立っていた。
確か、東野さんっていったっけ?


「あら。隼人君の妹さんだったよね?」


東野さんは、私にむかってニッコリ笑いながら、隼人に確認している。


「ああ」



こんな少女チックなお店で、妹と出くわした恥ずかしさなのか、女の子と一緒のところを見られた恥ずかしさなのか、隼人は半歩店外へ出ようとしている。

そんな隼人には全く気付かない様子の東野さんは、どんどん店の奥にいた私に近づいてきた。




「隼人君の妹さんだよね?」

「・・・はい」



東野さんは、優等生らしい笑顔を私にむけている。
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