愛するということ
「大丈夫か?」

「うん。なんか、信じられなくって・・・」

「そうだろうな。でも、良かった・・・いつ目が覚めるか分からなかったから。」


「ありがとう。友里と、隼人の声聞こえた気がする」




そう言って、フワッと笑った
その顔が、さっきまで意識のなかった人とは思えないほど柔らかで、温かい




瞬の笑顔を見て、やっと意識が戻ったことを実感した。

そして、この2週間で俺自身が初めて生きた心地がした




ホッとしたからなのか、緊張していた体から、一気に力が消えていく。
俺は、その場にヘナヘナと座りこんだ



「隼人!」


心配そうに、起き上がろうとする瞬を、片手をあげて制した。


「ごめん、大丈夫。ちょっと安心したら足の力抜けちゃっただけだから」



ハハハと笑って立ち上がった俺に、「ごめん」と瞬が力なく謝った

「謝ることない。瞬が悪いんじゃないよ。

そうだ、さっきみんなに連絡したんだ。そろそろ友里、着くころかもな。覚悟しとけよ。2週分溜まってるから」



「ハハっ。凄そう」



2週間意識なく眠っていた体は、想像以上に弱っているらしく、今晩は立つことを許されていない。

ジッと上を向いていた瞬が、俺の方へ体を向けた。
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