愛するということ
「隼人、いいよ。拓馬だって何かあったら、助けてくれようとしてたわけだし・・・」


私は、あわてて、隼人をとめる。

隼人は、まったく納得していない様子だったけど、当の本人の私がいいと言った手前、終わりにせざるを得なくなって、私の頭をポンポンっとたたきながら、部屋を出て行った。



「まったく、隼人は空気が読めないねぇ」



隼人が出て行って、残された私たちの間の変な空気を破ったのは、やっぱり拓馬だった。


「拓馬が、瞬ちゃんに失礼すぎるの!」

「はいはい。すみませんでした」


後ろ手にヒラヒラと手を振って拓馬も部屋をでていった。



「もう、拓馬!」

「友里、いいよ。いつもの拓馬の冗談だって分かってるから」

「だからって、瞬ちゃん・・・」


両手で拳をつくって、バタバタしながら怒っている友里に、



『友里がしっかり告白を、断れるようになれば、こんなことにはならない』
なんて、言えるはずもなくて、私は苦笑いをするしかできなかった



「瞬ちゃんがそういうなら・・・」


ぷぅっと頬を膨らましながら、部屋を出ていく友里の背中を、ボーッと見ながら
最近、どんどん強くなっていく自分にとまどうことが多くなっている。

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