愛するということ

「隼人、ママなんだけど、私も車いすに乗れるようになったから、私から病室に行きたいな」

「ああ、来週退院だもんな。先生に相談してみるよ」



やっぱり隼人は、私を見ずに答える。

手元にある雑誌に目を向けているように見えるけど、たぶん読んではいない。
だって、さっきよりページを捲るスピードが速すぎる。



そして、またあの目。



いつも、隼人の苦しそうな目を見るたびに、隼人を苦しめているのは、私の言葉だと思うと、それ以上言葉をだせなくなる。


「隼人、拓馬ぜんぜん顔見せないね。そんなに大学忙しいの」

「今まで、遊びすぎたんだろ。俺も会ってないし」


やっと、雑誌から私へ目を向けてくれた。
さっきの目はもうそこには無い。