君と見上げた空【完】
「空っ空っ」

私がそう叫んでいると


「空君!!」


消毒液を持ってきた先生が
そう叫んで空に近寄った。


「空君大丈夫!?
 …舞山さん薬!!空君の
 ポケットから出して!!
 早く!!!」


私は驚きを隠せないまま
空のポケットから薬を取り出した。


「空君、飲んで・・・そう」


先生は空の背中をトントンと叩き
ながら言った。



「・・・先生すみません」


咳が止まった空はそう言った。


「いいえ、これが私の仕事ですから
 ・・・それはそうと、舞山さんに
 言わなくていいの?」


「・・・分かりました、今から
 話します」


何を話すの?薬のこと?今の
激しい咳のこと?


「蝶あのな、俺……」







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