12年目の恋物語
数日前。
呼び出された校舎裏。
「キミは、ただ広瀬が好きだった。
そうして、広瀬のためにと思ってしたのかもしれない」
羽鳥先輩の言葉に反論しようとしたけど、なぜかできなかった。
2年で常に学年トップの成績を張るクールでカッコいい、羽鳥先輩。
もちろん、顔も名前も、知っていた。
でも、羽鳥先輩は、同じイケメンでも、
叶太くんみたいに、いかにもスポーツできます、クラスの人気者です、
みたいな、明るい雰囲気ではない。
落ち着いた、いかにも頭の良さそうな大人っぽい人。
だから、体育会系丸出しの、まるでタイプの違う自分が声をかけられるなんて、
考えたこともなかった。
それでも、呼び出されて、何かを期待していたかもしれない。
叶太くんには完全に、失恋しちゃったから。
どこにも希望の見出しようのない、完全な失恋だったから。
だから、いったい何だろうって、ドキドキしていた。
でも、先輩の表情はとても冷たくて……。
そして、言われたのは、わたしが密かに想像したような、浮かれた話とは、まったく違っていて……。
わたしは背筋の凍るような、厳しい現実を突きつけられた。