教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「ふうー…」


ただいま数学の授業中。


しかし、頭の中はファイナルファンタジーⅣ一色。


先生がさんざんアツく語ったので、頭から離れなくなってしまったのだ。


おのれ先生め。


ああ、もう数学の単語が全部ファイナルファンタジー関連語に聞こえるよ。


あれ?


今、先生「プレリュード」って言わなかった?


ちなみにこれもファイナルファンタジーの音楽らしい。


いや、言うわけないよね。


1人でバカみたいだ。


ちょっと苦笑する。


けれども目を閉じれば、穏やかな笑みを浮かべる先生がいる。


数学がファイナルファンタジーモードになってもどうでもいい気がした。


あたしには先生がいればそれでいい。


別れなくて本当に良かったと思う。


昨日のあたしはどうかしていた。


そして浮かれてノートに落書きを始める。


もちろん書き終わったら消すけど。


今思えば、そんなことをしている暇があったら黒板に書いてあることを写せって話だ。


しかし、この時のあたしはそう思わない。


頭の中には「授業に集中する」、「黒板に書いてあることを書き写す」という選択肢はなく、「落書きする」しかなかったのだから。


我ながら浮かれすぎだ。


そのおかげで、後日の数学のノート提出日に大騒ぎすることになるのであった。
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