親友ときどき上司~熱風注意報~


 言われた通りに覚束ない足取りで洗面所に向かった瑞希は、泣いてしまったせいで滲んだアイラインごと顔を洗った。

 そのままメイクを落とした素顔は、幼くて不安を隠せない表情だった。

 空港から彼女が来た。

 荘司を待てなくて直接来たのだろう。

 いつまでも来ない荘司に怒っているのだろうか?



 トボトボと洗面所を出た瑞希は、リビングの扉をソッと開ける。


 覗き込んだ瑞希に背を向ける長いブロンドの巻き毛が目に入った。

 瑞希の気配にゆっくり振り返る彼女は、瑞希を見て大きな目を更に大きく見開いた。

 綺麗な人。

 荘司よりも年上だろう彼女は、近くに立っている荘司と並ぶに相応しい容姿の持ち主だった。

「瑞希?おいで。」

 明らかに怯える瑞希に、荘司は苦笑すると手招いた。

 子供を呼ぶような声音に、瑞希は唇を噛む。

 それでも、荘司の側へ行きたくて歩を進めると、その手前で彼女が立ちはだかった。


 見上げた彼女は瑞希よりもだいぶ背が高い。

 しかし、見上げた彼女の表情に敵意が見られない事に瑞希は首を傾げた。



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