親友ときどき上司~熱風注意報~
荘司が職権乱用なんてするわけがない。
小さな運送会社の隼人の会社にとって、瑞希達の会社は大口の取引先だ。
本社デザイン部門部長から苦情が出れば大変な事になるだろう。
隼人が荘司の名前を知っているのを聞いて、わざと言っている。
荘司が脅しで言っているだけで、実行に移す気はないと分かる。それでも、隼人には効果的だったようだ。
取引先の権力のある人間。
言葉遣いが変なのも、不気味だろう。
こんな脅し、普通の社会人ならそれこそ鼻で笑う。
現に瑞希は、荘司の胸に顔を隠すようにして笑いを堪えていた。
ここで笑ったら、せっかくの荘司の“職権乱用する権力者”の演技が無駄になりそうで。
隼人に背を向けていて良かった。
そして、いつの間にか隼人に対する未練も吹き飛んでいる自分に可笑しくなる。