親友ときどき上司~熱風注意報~
「あっ、まだいたの?」
荘司の意外そうな声に、瑞希も荘司の首もとから振り返る。
そこには、ポカンとした隼人が立ち竦んでいた。
すっかり忘れていた隼人の存在に、瑞希は先程の醜態を見られていたのかと赤くなり、身を隠すように荘司の首もとに顔を埋めた。
瑞希のその行動が隼人にどう映ったのか、
「…バカバカしい!」
と足音が遠ざかって行く。
「瑞希の部屋のあんたの荷物どうする?
あんたの会社に着払いで送った方が良い?」
「っ!バカ!送るなっ!捨てろ!」
「了解。」
最後まで、荘司は抜かりない。
鍵を持つ右手で隼人に手を振る荘司に、瑞希は溜め息を吐いた。
瑞希を抱え、マンション入り口でオートロックを解除し、エントランスを通り抜け、エレベーターの前で、
「で、瑞希の部屋って何階だっけ?」
と、飄々とした笑顔で問いかけられたのだから。