親友ときどき上司~熱風注意報~
「降ろしてよ。」
「歩けないでしょ?」
到着したエレベーターの中で、瑞希の部屋のある8階を待つ。
小さな空間の中で、瑞希は先程の自分の痴態を思い出していたたまれない。
ポーンと軽やかな音がして、エレベーターが8階に到着する。
スタスタと瑞希の部屋へ向かい、手に持つ鍵で扉を開けると、当たり前のように部屋に入る荘司。
初めて訪れたはずなのに、まるで荘司の家のようだ。
1LDKのリビングに入ると、ソファーの上に瑞希を降ろしてくれる。
「よいしょっと。」
「ちょっと、凄い重かったみたいな言い方やめて。」
座る瑞希の前に立ったままの荘司を睨む。
意地の悪い親友は、ニヤリとしただけで肯定も否定もしないかわりに、軽く肩を竦めただけだった。
むうっと頬を膨らませた瑞希に、荘司のサラリとした指先が頬を撫で、そのまま首筋に滑らされた。
「っ!」
ピクリと震えた瑞希を見下ろした荘司は、
「よ、だ、れ。」
と、意地悪に笑った。