親友ときどき上司~熱風注意報~
荘司が帰った後、言われた通りに鍵をかけようと立ち上がる。
アルコールのせいか、荘司のキスのせいか、瑞希の体はまだフラフラしていた。
行儀悪いと思いながらも、ストッキングの足で玄関の人工石の上を数歩歩く。
手を伸ばして回転式の鍵に触れようとした時、触れる前に扉が外から開いた。
「えっ?荘司?」
たった今出て行った荘司が忘れ物でもしたのかと、笑顔を向けた先には、
「あいつなら、エントランスのソファーにいたよ。俺が来ないか見張ってんだろね?もう来ちゃってる事も知らずに、護衛してる。」
と、楽しそうに可愛く笑う隼人がいた。
とっさに扉を閉めようと、伸ばした瑞希の手はパシンッと払われる。
「瑞希、あいつだけで満足なわけないよな?今まで通り楽しもうよ。」
部屋に入って来る隼人は、後退る瑞希に笑顔で話し掛ける。
その笑顔が酷く怖い。