親友ときどき上司~熱風注意報~
「隼人っ!やめてっ!」
「うるさい。大人しくしてれば気持ちよくしてやるって。」
ニッコリ微笑んで言う隼人の優しい声。
その静かな声音が怖い。
瑞希のブラウスに両手をかけると、一気に左右に開けられる。
ビリビリと布の裂ける音と、パチパチと頼りなく飛び散るボタン。
その下のキャミソールも紙屑の様に剥ぎ取られた。
恐怖に抵抗する事も出来ずに見上げる先には、興奮しているのか隼人の血走った目。
嵐が過ぎるのを待つように、諦めて瞳を閉じようとした時だった。
玄関が開く音がした。
都合の良い幻聴かと思った瑞希だが、瑞希の上に乗る隼人の体が動きを止める。
それが現実だと物語る。
「…ぉじっ!荘司っ!荘司っっ――!」
確信する相手の名前を必死に叫んだ瑞希の声は、本人も聞いたことのない悲鳴だった。