親友ときどき上司~熱風注意報~


 例え、誰かに聞かれてもただの雑談にしか聞こえないだろう。

「そんなクールだと、彼女不満タラタラになっちゃいますよー。」

 若さ故の暴言か、と苦笑しながら適当にかわした荘司は、男が、

「他の男に取られちゃってたりして。」

と、勝ち誇った笑顔で去って行くのを見送った。


 あいつね―――

 それで、瑞希が男と付き合っているのに気付いたのだ。


 社内で荘司と瑞希が恋人同士だと囁かれ出したのは、もうだいぶ前。

 荘司としては噂だけが独り歩きしている状態で気に入らなかったが、特に肯定も否定もしなかった。

 そういう事にして置けは、瑞希に手を出す男もいないだろう、と僅かに打算があったから。

 だが噂を知って、荘司に宣戦布告をして来た男は初めてだった。



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