親友ときどき上司~熱風注意報~


――好きだから―――

 それは料理をする事がって意味で他意はない。

 分かっていても、どこか落ち着かない気持ちになる。


「か、顔洗って来るっ。」

 いつもならからかって来る荘司が、今日に限って何も言わずに微笑み返すのも、妙に照れ臭くて、逃げるように洗面所へ立った。


 バタバタと顔を洗って、濃いめのメイクをすると、顔の痣はほとんど目立たなくなった。

 荘司のマンションから会社までは近いが、把握していないバスの時間を考えて早めに出るつもりだった。

 荘司自身は車で出社しているので、時間にも余裕があるのか新聞を読みながら食後のコーヒーを飲んでいた。


 
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